体験型イベントにおけるゲーム体験とゲームメカニクスには、まだ進化の余地が大きく残されている。
この記事は、体験型イベント Advent Calendarの第七日目の記事になります。
今年の体験型イベントアドベントカレンダーは、かなり早い段階ですべての日程が埋まっており、去年より盛り上がりを感じてします。皆さん、参加いただきありがとうございます。
さて自分は、カレンダーを作っただけで、みんなで楽しめるならそれでよいと思っているため、日数としても特に区切りのあるわけではないところで、記事を書きたいと思います。
今年も去年に引き続き、書籍紹介を書きます。
去年はおもしろい体験型謎解きゲームストーリーの作り方ということで、主に体験型イベント、その中でも謎解きイベントを意識して、そのストーリー、世界観を中心に紹介しました。ですので、今年は体験型イベントにおけるストーリー、世界観などのコンセプトと対をなす要素、参加者のアクションについての書籍を紹介したいと思います。
今年紹介したい書籍はこちら。
3Dゲームをおもしろくする技術 実例から解き明かすゲームメカニクス・レベルデザイン・カメラのノウハウ
- 作者: 大野功二
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2014/07/28
- メディア: 大型本
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(アフィリエイトリンクも貼ってみたかったので、二重になりますが貼ります。)
Amazon.co.jp: 3Dゲームをおもしろくする技術 実例から解き明かすゲームメカニクス・レベルデザイン・カメラのノウハウ: 大野 功二: 本
今年もデジタルゲームに関する書籍になります。この本は、3Dゲームと銘打っていますので、PS4やWiiUなどのコンシューマゲーム向けに開発されている3Dゲームを対象として、そのゲームがなぜおもしろいのか、ゲームメカニクスの観点から分析している書籍となります。
例えば書籍内で紹介されているゲームを挙げると、スーパーマリオランド、DARK SOULS、ゴッド・オブ・ウォー、ベヨネッタ、Call of Dutyなどなど、3Dゲームならジャンルを問わず多岐に紹介されています。
ゲームメカニクスの観点から分析となりますが、そもそもゲームメカニクスとはなんでしょうか。
この書籍ではゲームメカニクスについて、最初に紹介されているマリオとゼルダのダッシュを比較して紹介している章で以下のように紹介されます。
このようにプレイヤーキャラのアクションには、プレイヤーに体験してほしい様々な「ゲーム体験」を実現するための「ゲームをおもしろくする技術(ゲームメカニクス)」が詰め込まれています。
つまり、ゲーム体験、プレイヤーに対してゲームで感じて欲しい体験がまずあり、
そしてそれを実現するために、ゲームメカニクス(ゲームの仕組み、おもしろくする技術)が存在している。ということになります。
このゲームメカニクスとして、3Dゲームではどのような工夫が各ゲームで行われているのかは、この書籍を見てていただければと思います。
ここで言う”ゲーム体験”とは、体験型イベントの体験とは似て非なるものです。
体験型イベントの体験は、プレイヤーが実際に自身の身体で経験するイベントのことになります。そして"ゲーム体験"はそのようなイベントを通してプレイヤーに感じてほしいコアな面白さなメッセージとなります。
これは僕自身の反省にもなるのですが、体験型イベントで没入感を得てもらう、そのために世界観やストーリーを練りあげて作品を作っていこうという気持ちが強く出た作品を見ることがあります。
それが何故かという事を自分を例にして考えてみます。自分の場合はゲームが作りたい、そして現実でプレイヤーが何かアクションすることがやりたいという気持ちがあり作品を作っていました。
そうすると、自然とゲームの内容としてはリアル脱出ゲームに似た内容を作ることが多くなりました。なぜならリアル脱出ゲームはある意味ゲームの1ジャンルに似たもので、構成がある程度固まってきており、同人作品を作る上ではそれを真似ての作成が比較的容易だったからです。構成を変えるということは新しいジャンルを作ることなので労力が大きくもなります。
(例えるなら、スーパマリオシリーズがあるからこそ、I wanna be the guyなどの横スクロールゲームを作ろうとする人が現れるのと同じ状況です。)
その中で個性を出そうとすると、ゲームの構成、つまりゲームメカニクスを変えるという挑戦よりストーリー、世界観を変えることの参加者へのインパクトが大きい(宣伝のフライヤーなどにも影響がある)という考えに気付かなかいうちになっていくことはある意味自然だったのかなと思います。
確かに、世界観、コンセプトなどの部分の重要ですが、それは車輪の片方です。ゲーム体験とそれを実現するメカニクスにももっと注意を向けると、より面白いゲームが、体験型イベントが作れるのではないかということに、この書籍を読んでいて考えるようになりました。
デジタルゲームでは、一見非効率に見えるアクションであってもそれが実現したいゲーム体験を引き起こすためにあえてそのアクションを行うということがあります。
デジタルゲームとしての特性や、制約をも取り入れてデジタルゲームはそのメカニクスを進化させてきました。
体験型イベントとデジタルゲームは全く違います。なのでそのゲームメカニクスも同じものにはなりません。
しかし、デジタルゲームで培われてきたプレイヤーに没入感を提供する方法、ゲーム体験の実現とそのためのゲームメカニクスを知ることは、体験型イベントのメカニクスを進化させていくためには価値あることだと思っています。
自分の今は環境の変化に追いついていくことに精一杯ですが、あたらしいメカニクスを取り入れたイベントをいつか作成したいと思っています。