面白いことは良い。知らないことは良くない。

考えたり考察することがただ好きなだけの、きっと何者にもなれない人間は日々このような事を考える。

おもしろい体験型謎解きゲームストーリーの作り方

この記事は体験型イベント Advent Calendar 2014の第2日目記事です。

 

さて、昨日は告知記事でしたの、本日は体験型イベントに関連した内容を書いていきたいと思います。

 

 

すでに何ヶ月も前の事ですが、自分は謎キャン2014という学生団体による、謎解きイベントの合同フェスにおいて同人誌を出していました。

そのネタを探している一環として、イベント打ち合わせの時、つまり大抵が謎解きイベント制作者がいる中で、

「イベントを作る時に困ることや、こういう事を知りたいというものは何かありませんか?」

という質問を投げかけた時、その場にいたメンバーから、次のような質問をもらいました。

 

「どのようにしたら、面白いイベントのストーリーを作ることができるだろうか?」

 

ということで、

今日は、謎解きという体験型イベントとストーリーについて書きたいと思います。

 

 

面白いストーリーを100%書ける方法が紹介できたらよかったのですが、残念ながらそのようなものはありません。

そんなものがあったら、この世のシナリオライターのほとんどにやることがなくなってしまいます。

それでも、よいストーリーを作るためのルール、原則のようなものは、色々な所でまとまっています。

今回は、その中から最近読んだ、ストーリーのあるゲームイベント制作の上でかなり有益だと思われる一つの本を紹介します。

 

その本とは、「おもしろいゲームシナリオの作り方」です。

 

 

この本は、主にデジタルゲームを対象とした内容となっているのですが、内容はゲームと名前がつくならどのようなものでも対象とできるような普遍的な内容となっています。

 

この本の目的は副題「41の人気ゲームに学ぶ企画構成テクニック」に書いてあるとおり、ゲームシナリオの企画とその構成についてに焦点が当てられているものです。

監訳者まえがきにも同じことが書かれています。

ゲームシナリオ技法を題材にした書籍は数多く存在しますが、そういったもののほとんどは、「おもしろいゲームシナリオを書くための本」 です。本書は、そうした既存の書籍とは根本的に異なります。なぜなら、「ゲームをおもしろくするシナリオを作るための本」だからです。

 

そしてこの後、ゲームシナリオを面白くするためには具体的なシナリオより前の企画構成段階が重要であると話が続きます。

 

この本を読めばその瞬間から、素晴らしい剣技と魅力的な魔法に満ちたファンタジー世界や、リアリティ溢れる核戦争とそれにより荒廃した近未来の地球、そしてそこで起こる奇想天外、波瀾万丈なストーリーが作れるようには、、、おそらくならないでしょう。

しかし、そのような世界を作るために知るべき原則、ルール、作るためのプロセスなどを学ぶことができるようになるはずです。

 

この本を、体験型イベントを制作している方に勧める理由は、さらにあります。

それは、他のストーリー提供メディアにはないゲーム独自の要素、インタラクティブ性について、詳細に議論されているからです。

 

ゲームのストーリーに究極の論争として次のような物が挙げられています。それは、

古典的な、つまり演劇や小説、映画などで作られてきた観客は見る事で読むことで与えられるストーリーと、

インタラクティブ性のある、つまりプレイヤーとしてストーリーに介入する事ができるストーリーの、

果たしてどちらがゲームのストーリーとして素晴らしいのかというものです。

 

この究極的な問い(この本の表現で言えばMDQ, メジャーダイナミッククエスチョンでしょうか)について、答えるために、様々な角度からストーリーというものを理解していきます。

古典的なストーリーを理解するためにギルガメッシュ叙事詩など大昔、神話から受け継がれてきたヒーローズ・ジャーニーというパターンについて理解を深めることもあれば。

ストーリーのディテールして重要なものが何であるのか?それはビリーバブルな、つまりそのキャラクターの存在を信じて感情移入できるようなキャラクターと、ストーリーを展開するためのペース配分であるということを学びます。

そして、ストーリーの一番大事な問いが何なのか?観客のストーリーへのモチベーションを維持するための仕組みとしてMDQと、緊張と緩和などの対立構造の間でのバランスの取り方を知ることになるでしょう。

さらにインタラクティブ性について学ぶために、ゲームのストーリーをインタラクティブ性によって、完全一本道ストーリーから完全プレイヤー主導型ストーリーまで6つに分類して、それぞれの強み弱みを考えます。

 

最後に忘れてはいけない、一番大事な問題、ゲームのプレイヤーは果たして何を求めてゲームをするのかという事を議論した後、実際に北米プレイヤーへ行ったアンケートを分析する事で実際に求めるものを見つけ出します。

 

このような検討の結果、果たして究極の問いの答えはどのようなものになったのでしょうか?

 

その結末は、是非この本を読むことで、確認してもらえればと思います。

(ここまでの内容紹介も書かれたストーリー作成テクニックを利用して構成してみました)

 

 

さて、ここからは本を読んだ感想を少し書き連ねて、このエントリを終わりたいと思います。

そもそも、人はゲームに何を求めるのでしょうか?私は、大きく分けてそれは2つあると思っています。

ゲームプレイという体験とそこに存在するストーリーです。

 

これまで日本で流行していたゲームは、主にデジタルゲームでした。

そこでは、ゲームプレイという体験はデジタル機器の中でしか存在しなかったものです。

どんなに熱中しても人はテレビの中に入れない以上、ゲームプレイは自分の身体、生きている現実とは違うものとして得るしかなかったのです。

 

そのような状況で、リアル脱出ゲームなどの体験型謎解きゲームは、そのゲームプレイという物を、現実空間で提供することに成功しました。

 

もちろん、TRPGボードゲームなどがこれまでもそのような事をしてきたという主張もあるでしょう。しかし、敢えて誤解を恐れずに言うのであれば、それらのゲームは現実空間にあっても、プレイヤーの脳内や、盤面上でしかゲームプレイを提供できなかった。

対して体験型謎解きゲームは、イベントして作られることで、人間の視覚、聴覚、そしてゲームが行われる空間そのものとして、身体的な体験としてゲームプレイを構成ことに成功した。そういうのが妥当かもしれませんね。

 

ともあれ、そのように現実空間で得られるゲームプレイというものは強烈でした。

自分自身の好みもあるので、一概には言えませんがかなり多くの人がこの体験を面白いものだと思っていることは、このジャンルが短期間で大きく成長したことからも恐らく明らかでしょう。

 

しかし、そのような初期の強烈な時期もまもなく過ぎ去ることでしょう。

アーケードからコンシューマへ、コンシューマからスマートフォンへ、デジタルゲームがそのハードウェアを新しいものに移行し一般化してきたように、体験型謎解きゲームもデジタルゲームというハードウェアから現実空間に、人々に認識は移行し一般化すると思います。

 

その中でどのようなものを作るのか?いかにおもしろいゲームを作るのか?

これが、これからの体験型ゲームのたどるべき道だと思われます。

その中で、ゲームプレイとして、謎解きは一つのジャンルに下がり、現実空間というハードウェアで実現できる別のジャンルが生まれてくるはずです。

そして、それはストーリーにも同じことが言えます。

 

これまでは、謎解きというゲームプレイが強烈な経験をプレイヤーに与えていました。頭を使って謎を解き明かし、ゲームを進めていくという体験はとても楽しく、とてつもない達成感を与えてくれます。

しかし、はじめに立ち返りましょう。プレイヤーが求めるものは、ゲームプレイだけではないはずです。

ゲームプレイとストーリー、その両方がプレイヤーの求めるものなはずです。

それを同時にひとつのゲームでクリアしろと言うわけではありません。

 

いちプレイヤーとして僕自身は、楽しいゲームプレイと面白いストーリーの両方が好きなのです。

体験型イベントで、面白いストーリーを経験してみたい、そして自分でも作ってみたい。

 

そのような未来に対して、このエントリで「おもしろいゲームシナリオの作り方」を紹介したことが影響を与えられたらうれしいです。